[中央共同募金会のよる助成]赤い羽根ポスト・コロナ社会に向けた福祉活動応援キャンペーン「外国にルーツがある人々への支援活動応援助成」第5回助成のご報告と感謝の言葉

【外国にルーツがある人々への支援活動応援助成第5回の活動報告~まとめて版~】外国人高齢者が地域で安心して暮らし続けるために

令和6年度、在日韓国人福祉会では
「外国人高齢者問題の可視化と支援基盤をつくるための事業
~新宿地域を中心としたネットワーキングを目指して~」をテーマに、主に三つの柱で活動を行いました。

第一に、外国人高齢者支援者ネットワークづくり会議を年4回開催しました。
行政、医療、福祉、地域包括支援センター、民間事業者、大学関係者、地域住民などが集い、文化・言語・制度の壁によって生じる支援の課題を共有し、多職種連携の関係づくりを進めました。

第二に、落合第一・柏木高齢者総合相談センターへのヒアリング調査を実施しました。
通訳体制の不足や制度の狭間にある課題が明らかになる一方、タブレット通訳の活用や医療機関・地域との連携など、現場での工夫や実践も確認され、今後の行政提言に向けた基礎資料となりました。

第三に、人材育成事業として、支援員・ボランティア向けの研修を継続的に実施しました。
韓国語による認知症サポーター養成講座では20名の修了者を輩出し、母語による学びを通じて、地域に根ざした支援の循環が生まれつつあります。

これらの取り組みはマスコミにも取り上げられ、全国各地のコリアン福祉団体や研究者が見学に訪れました。
地域を越えたネットワークが広がり、外国人高齢者支援の基盤が全国へとつながり始めています。

一方で、「母語がえり」の認知症高齢者への対応など、支援現場には依然として大きな課題があります。
私たちは「今、目の前にいる人を支える」という姿勢を大切にし、母語で安心して話せる場づくりや、孤立させない支援を今後も続けていきます。

新宿を拠点に、地域と全国をつなぎながら、
外国人高齢者が住み慣れた地域で尊厳をもって暮らし続けられる社会を目指し、引き続き取り組んでまいります。

この度は、当在日韓国人福祉会の活動に温かいご寄付をいただき、心より感謝申し上げます。当会の活動は今年で10年目を迎えます。10年前、私たちは「祖国に帰りたいけれど帰れない」外国人高齢者が地域に暮らしている現実を知りました。そのような方々を少しでも支えたいという思いから、この活動が始まりました。最初は小さな取り組みでしたが、今では新宿区内にとどまらず、遠く秋田県の施設からも「母国語に戻ってしまった高齢者を助けてほしい」とのSOSが届くようになりました。介護現場の職員が「外国人高齢者支援」「東京」と検索し、当会にたどり着いてくださる。そうした切実な声に応えたい一心で、福祉会はできる限りの支援を続けてまいりました。
 2024年度の活動では「知る・知らせる」、そして2025年度には「つなげる・つなぐ」をサブテーマに掲げ、さまざまな団体や専門職、地域の方々と出会い、共に歩んできました。つながることで初めて見える課題があり、つながることで支え合える希望が生まれました。多くの方々の協力によって、外国人高齢者、特に母語がえりの認知症高齢者が、住み慣れた地域でこれまで通りの生活を続けられる支援の基盤が少しずつ形になってきています。地域の中で「普通の住民」として不安なく暮らせるように、そして「日本に来てよかった」と最後に言える取り組みを、これからも続けてまいります。  

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Posted by taeokkim