[赤い羽根共同募金]赤い羽根 新型コロナ感染下の福祉活動応援全国キャンペーン外国にルーツがある人々への支援活動応援助成 第4回完了報告

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外国にルーツがある人々への支援活動応援助成 第4回助成で行った事業概要


 在日韓国人福祉会(以下「福祉会」とする)は、主に外国人高齢者(主に在日コリアン)が抱える生活問題に対して、新宿を拠点として支援を行うために2015年より設立されました。外国人高齢者は、日本人と同じく生活課題を抱えるとともに、言語的・文化的な背景の違いによりさらなる支援課題を持つのが特徴です。例えば、福祉制度を利用するにあたって、制度に関わる情報の不足やコミュニケーション問題などで、相談することすら躊躇し、またはあきらめてしまうこともあります。彼らの中には高齢化に伴って社会関係の断絶により、孤立しがちな傾向にあるため、生活において多くの問題を抱えていることも支援の現場において確認してきました。
 福祉会は、外国人高齢者に対する福祉制度や支援が十分とは言えない中で、外国人の社会文化的な背景について深い理解を持つ有志の福祉専門家(社会福祉士や介護福祉士、ケアマネジャーなど)を中心として、外国人高齢者が住み慣れた地域社会において健康で文化的な生活が続けられるように支援をしています。
 具体的には、彼らが地域社会において孤立しないように居場所を提供すると同時に、居場所づくりに協力してくれるボランティアとの交流を図っています。また、地域社会における「支えあいの基盤づくり」や多職種連携の前提となる「ネットワークづくり」が必要になってきています。こうした活動を通じて新宿のみならず、東京都内や関東地方から電話相談が寄せられており、潜在化されてきた外国人高齢者の生活問題を可視化することにもなっています。
 本助成金事業のもとで行った事業は、大きく次の三つでありました。①外国人高齢者の支援員・ボランティアの人材育成事業(5回実施)、②地域住民をはじめとする福祉専門職、医療、教育関係以外にも様々な団体が参加した「新宿地域における外国人高齢者支援者のネットワークづくり会議」(5回実施)、③外国人高齢者の相談、総合的な窓口を持つ新宿区に位置する3ヶ所の高齢者総合相談センターとの「ヒアリング調査」です。


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外国にルーツがある人々への支援活動応援助成 第4回助成による事業(活動)の成果


① 外国人高齢者を支援する支援員、ボランティアの人材育成事業
2024年4月26日 第1回目勉強会「認知症高齢者の理解」12名参加
2024年5月24日 第2回目研修会「株式会社フランスベッド 福祉用具体験」13名参加
2024年6月21日 第3回目勉強会「介護保険制度について」12名参加
2024年8月2日 第4回目勉強会「高齢者総合センターの役割を知ろう」13名参加
2024年8月30日 第5回目まとめの会 今までの振替及びこれからについて意見交換会 13名参加
福祉会では増加する認知症外国人高齢者を支援するための人材確保が課題でした。これまで単発的な参加に留まっていたボランティアが、人材育成事業を通して支援員・ボランティアに高齢者支援への理解を深めるきっかけとなり、そして参加動機につながり、実際に参加するボランティアの数も前年度より増加するという効果がありました。

② 外国人高齢者支援者のネットワークづくり会議
2024年11月13日 ネットワークづくり会議に向けた創立記念会講演 7名参加
2024年2月19日 第1回「共に生きるための第一歩」21名、14職種参加
2024年5月20日 第2回「日本での最期を穏やかに。外国人高齢者当事者の声」42名、28職種参加
2024年7月22日 第3回「外国人高齢者を地域で支えるために私ができること」38名、22職種参加
2024年 9月30日 第4回「共に生きるための第一歩」38名、19職種参加
福祉会で行われたネットワークづくり会議では、新宿区の地域住民をはじめ、行政機関や福祉専門職、保健医療職、福祉用具相談員、教育関係者などの多職種の専門家が集まり、外国人高齢者の生活問題に対する支援を行うための連携体制を構築することができました。今後もこうしたネットワークづくり事業を通して、外国人高齢者問題の可視化と福祉供給体制の整備、さらに国籍を超えた地域コミュニティの形成も期待しています。

③ 新宿区内の外国人高齢者の現況や課題を知る~ヒアリング調査~
2024年7月11日 第1回戸塚高齢者総合センター 管理者、副管理者、主任介護支援専門員
2024年7月29日 第2回若松高齢者総合センター 主任介護支援専門員、保健師
2024年9月30日 第3回大久保高齢者総合センター 副管理者、主任介護支援専門員
外国人高齢者の相談実態について共有してもらい、各々の相談窓口にも外国人高齢者の生活問題に困難を抱えていることが確認でき、今後の支援においても連携をしていくことの合意を得ました。


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外国にルーツがある人々への支援活動応援助成


第4回助成事業を実施する中で見えてきた課題と今後の取り組み
① 外国人高齢者を支援する支援員、ボランティアの人材育成事業
福祉会の母国語である韓国語による研修ができる講師募集をはじめ、教育内容編成、育成事業内容の見直し、アンケート作成等を行いました。こうした計画・準備の段階だけでも3ヶ月間の準備期間と努力を所要されました。今後はこのような業務に慣れていくために職場内教育にも取り組んでいきたいでし・人材育成事業では支援員・ボランティアの意識向上、活動参加率も高まる効果もあったが、今後は活動参加を持続していくための取り組みも必要になってくると考えます。

② 外国人高齢者支援者のネットワークづくり会議
ネットワークづくりでは新宿地域に在住している外国人高齢者支援をめぐり複雑な生活課題、行政機関への繋がりへの難しさ、最後まで過ごせる居場所がないこと、外国人高齢者の専門支援員、窓口の不足等が上がりました。したがって福祉会はこれらの支援課題を引き受け、ネットワークづくり事業を継続することで従来では見えなかった支援課題を可視化、外国人高齢者が最期まで住みやすい街づくりを目指します。
福祉会が取組む支援は地域全体の課題であるために、ネットワーク強化に加え、地域住民や当事者のコミュニティを取り巻く支援体制を作る取り組みを今後の課題としていきます。

③ 新宿区内の外国人高齢者の現況や課題を知る~ヒアリング調査~
ヒアリング調査では3ヶ所の高齢者総合相談センターにしかお伺いすることが出来なかったが、今後は施設や支援団体に訪問し実態の把握、課題を可視化、地域社会に知らせていきたいと思っています。調査では外国人高齢者支援課題として「外国人支援に対する職員の不安」が上がっていました。例えば、センターに来所した外国人支援の場合、支援者は外国人の社会文化的な背景を知らないことから「どう支援すればわからない」という漠然とした不安をあげていました。さらには必要なコミュニケーションのため通訳支援はどの機関に依頼すればいいかと言う連携機関の情報不足問題が上がっています。通訳支援をボランティアとして依頼しても、無償ボランティアのゆえに安定的な通訳支援が継続できない可能性が高いという課題も挙がりました。こうした問題解決のために職員達の多文化経験ができる接点作りも重要であると考えます。接点を設けることは外国人の社会文化的な背景を理解、今後外国人支援をすることへの不安が軽減されることが期待されます。また、通訳支援の無償ボランティアの持続可能性の側面での限界を克服するためには、有償ボランティアを制度化することも重要です。このような制度化が実現されれば、多様な言語圏のボランティアを募集することができ、また外国人支援の持続可能性を高めることが可能となるはずです。


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寄付してくれた人へのメッセージ


 日本では在住外国人の定住化・永住化に伴い外国人高齢者は増え続けています。それは今後日本に住む外国人高齢化が進んでいくことが予想されています。日本で最期を迎えたい外国人高齢者は年々増えている中、外国人高齢者が必要とする支援が重要となっているのです。
 在日韓国人福祉会はこの度、助成を受けた事業がスタート地点となり、少子高齢化の時代、外国人を受け入れないと、社会が回れない時代、この地域で寄り添って長く生きてきた外国人高齢者が最期まで共に生きるための第一歩につなげられたらと思います。
 この度、助成金事業を通して地域住民をはじめ、団体・組織様との素敵な出会いがたくさんありました。当団体だけでは解決できない外国人高齢者課題について共に考え、発言し、働きかけて下さいました。活動を知り、参加して下さった一人ひとりの皆様にこの場を借りて感謝を申し上げます。特に、助成をして頂いた益財団法人三菱財団をはじめとしてこの活動に共感して下さった多くの個人・企業様誠にありがとうございました。

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Posted by taeokkim